ひきこもりから動き出すきっかけ―――若者たちの言葉から考えること

 5年、10年とひきこもり生活だった若者が、どんなことをきっかけに動き出すのか。本人たちの語りを聞くとき、ちょっと鳥肌が立つような感覚があります。と同時に、それらのきっかけはありふれたもののようにも思えて、その若者への興味がぐっと高まる瞬間でもあります。

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 ある30代の男性は、過去にやったことのあるゲームソフトの新シリーズが発売されると知り、Switch2のゲーム機を探して連日家を出るように。「ふと親の年齢を考えて、『このままじゃいけないんじゃないか』と思った」。

 別の20代の男性は、愛用していたワイヤレスイヤホンが壊れ、「同じシリーズの新商品が出た時には、自分のお金で買いたい」と思ったのだそう。ずっと家の中にいる生活だった彼が、就職活動に向けて相談機関に足を向けるきっかけとなりました。

 ほかにも、「ゲームはやりつくした。正直つまらなくなっていた」というタイミングで、過去に知り合った支援者に会いに行けた人、弟が大学に入って頑張っているのを見て「自分も」と生活リズムを整え始めた人。

 似たような出来事や刺激は、それまでの5年、10年の間にも身近にあったはずですが、動こうと思ったのはその時ではなく、今回だった。それはなぜなのか。考えるたびに、人間の非論理的な心の動きに胸が熱くなります。

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 家から出ず、人の交流がほとんどない若者を見て、近くにいる家族は「いつまでこの状態なのだろう」「動き出すきかっけはないものか」と考え、辛い気持ちや徒労感に陥ることが多いと思います。

 「こんな求人があるよ」「同級生も大学を卒業する年だしそろそろ動き出したら」と行動を促したり、「親もいつまでも元気じゃない。自分で食べていけるように考えろ!」といつもより強めに叱ったり。考えに考えての声掛けもあれば、考えることをせず、もしくは考えることに疲れてストレートに思いをぶつけることにもなりがちです。

 近くにいればこそ、本人を思えばこその言葉だとしても、できればぐっとこらえて。論理的ではなく未解明な彼らの心が動くのを、待っていただきたいなというのが私たちの思いです。どうやって待てばよいのか、よい刺激になるようなことはどんなものか。いつでもご相談をお待ちしています。