前の家では継父に虐げられ、両親が離婚して引っ越し。その後は母が家事をほとんどしてくれず、自身のエネルギーも落ちてきて、16歳の自分と13歳の妹だけで夜を過ごすことも多くなっていた。そんな中での児童相談所での一時保護。急な展開に、どのような気持ちだろう、混乱しているだろうかと心配しながら面会に行くと、にっこりと、見たことのない笑顔で会ってくれた。
「大変だったね。保護所で2日過ごしてみて、どう・・・なのかな?」。恐る恐る聞いてみると。「よかった」とひと言。もう少し聞いてみる。「どこらへんが、Mさんにとっていいなと思ったの?」
「ご飯も出るし、規則正しい生活なのがよかった」
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中3の時に会ってくれるようになってからずっと、家族のことで苦しんでいた彼女。アパートから出てくるときは毛玉だらけのジャージのズボンで、下を向いてポツリポツリと話す。
そんな姿しか見ていなかったので、顔を上げてはっきりと話す様子を見て思わず「今まで見た中で一番元気そうな顔をしているよ」と声をかけました。その後は入居施設に入ることになり、今では週に3日は電車に乗って、通信制高校に通っています。
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子供や若者にとって、規則正しい生活をひとりで成り立たせるのはかなり難しいことです。三食の食事や「おはよう」「おかえり」という挨拶、洗濯し終わった服があることなどは、その子を気にかける大人がいる証拠。日々の生活の中で気にかける大人がいることこそが、中学生だった彼女に必要なものだったのだと思います。
家族との生活ではその環境が叶えられなくても、施設の人や学校の先生という大人が、彼女の毎日の中に今はいます。大人たちに囲まれ、友達とのやりとりを楽しむ彼女を見守りながら、一時保護所で見せてくれた笑顔を、彼女の代わりに覚えていたいと思います。