草の根ささえあいプロジェクト

草の根ささえあいプロジェクト誰もがありのままを認められる暮らしの中で、ひとりひとりの小さな一歩を大切にしあえるやさしい社会にしたい。

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誰もがありのままを認められる暮らしの中で、ひとりひとりの小さな一歩を大切にしあえるやさしい社会にしたい。

【クロニクル】番外編:おにぎりの手の感触

2018.03.20

草の根ささえあいプロジェクトのこれまでのあゆみについて振り返る草の根クロニクル。
番外編は、草の根ささえあいプロジェクト誕生につながる、渡辺(現草の根ささえあいプロジェクト代表)が経験した「おにぎり事件」です。

 

 

私は大学卒業後10年間、広告代理店で勤め人をしていました。子育てと仕事を両立する中で、社会の偏狭さや差別に対して思うところはありましたが、「自分は何とかそんな荒波を上手に切り抜けることができた」と、どこかホッとした気持ちで毎日を送っていました。

 

そんなある日、家に着いて子どもに夕ご飯を作っていたところに、TVからDVを受けている母子のニュースが飛び込んできました。夫からDVを受けていたその女性は、行政の窓口に行きましたが親身になってもらえず、追い詰められて、小学生の息子と車中生活を送っていました。
外食するお金もないので、コンビニでおにぎりを買って子どもに渡した所、子どもは「もうその具のおにぎりは食べたくないよ」と主張しました。余裕をなくしていた彼女は、「ワガママ言わないで食べなさい!」とおにぎりを子どもの口に押し付けました。そのことが原因で、小学生の子どもは、窒息死してしまったのです。

そのニュースを聞いた後、私は涙が止まらず何時間も泣き続けました・・・その彼女は、彼女であると同時に「私なのだ」と思ったのです。子どもの口におにぎりを押し込む感触が、自分の手に残るようでした。

 

彼女と私との差は、ほんの紙一重です。でも確実にその紙一重が、彼女と私のいる場所を隔てていました。その隔たりにあるものは何だろう? それを見つけて、埋めていく仕事がしたい・・・誰もが哀しまないように。そう強く思い、会社に辞表を出しました。

 
 

私を、今いるこの場所に運んでくれたのは、その時の彼女と亡くなった男の子なのです。

 

草の根クロニクルを読みたい方はこちらから→
クロニクル第一話:「わかってるんだけど仕方がない」の一言から始まった

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