不登校、ひきこもり、親子関係、生活の困窮―――。名古屋市子ども・若者総合相談センターに寄せられる相談はさまざまで、ひとつしか当てはまらないということは稀です。人それぞれに絡み合い、どこから手をつければよいかわからない。話を聞く私たちも、若者たちと一緒に悩み、ほどこうとすることもあれば、それは置いておいて、今できそうなことをひとまずやってみる、ということもあります。
そんな多種多様な相談ですが、年齢別にみると傾向があります。それは、20代以降は「働くことの悩み」が半数以上を占めること。「働きたいけど働けない」「働かなくちゃいけない」「本当は働きたくない」。働かなければ困窮してしまう状況の方もいますが、そうではなく、こみ上げる焦りから、相談に来られる方も。その面談の中でよく聞くのが、タイトルにもある「30歳を過ぎると正社員になれない」です。
これにはたくさんのパターンがあり、「25歳までに正社員にならないと」「28歳までしか雇ってくれない」「35歳以上では求人がない」などなど。おそらく最初は誰かに言われたり、ネットニュースで見たりしたのだと思いますが、彼ら自身、考えすぎて何をきっかけにそう思っているのか、わからなくなっていることが多いように思います。
実際には、不器用で職歴の少ない若者でも、30歳になっても35歳になっても40歳になっても「若い人が来てくれて嬉しいわ」と言われる職場が名古屋にはたくさんあります。少子化や人材不足が嘆かれていますが、若者たちにはチャンスの多い今の時代。「30歳」「正社員」と設定して立ちすくんでいる若者に、「何歳でも」「パートから時間を増やしていく」などと少し小さなステップを提供します。最低賃金も上がってきた今、パートのままひとまず十分な稼ぎを得る人もいますし、社会保険の加入やそこからの正社員登用にも前向きな会社から「時間を増やさない?」と誘われる人も多い。動き出すことができれば、先は続いていくものです。
もしかすると、これまでの時代にはあったかもしれない「〇歳には正社員にならないと」という言説。視野が狭くなってしまいがちな若者の目に留まると、そこから離れられなくなってしまいがちです。私たちは若者一人一人と、その視界の外にある社会や、大人たちも実はたどってきている裏道、逃げ道、回り道について、探して行けたらと思っています。