10歳で親が離婚する際に、自分で決めた。だから10年以上たった今でも、障害のある妹と病気の父の世話は私の役目。この日は妹の通院、この日は父。この日は食事を届ける。それより・・・と彼女の話は続きます。スイーツの話やアニメの話。時折、自然とあきらめた大学進学の話も。
パートで働き、自身の精神的不調とも付き合いながら忙しく家族のケアをしてきた彼女の相談事は、いつもケアのことではありません。「通院に同行してくれる福祉サービスもあるよ」「自分だけの時間も大事にしてほしいな」と私たちは思うけれど、「父についていくって決めたのは自分なので」。その潔さにこちらも背筋が伸びる思いがします。
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わたしたち名古屋市子ども・若者総合相談センターで出会う若者の中には、親の死去や精神疾患、若年性認知症などで、自分自身のケアだけでなく、家族のケアも担うことになった人が多くいます。その“ケア”には、精神的に不安定な母の罵声を受け止める、落ち着くまで話を聞いて寝かせる、日本語がわからない親の代わりに行政からの窓口となる、なども。家族の形をなんとか維持するために、柔軟に役割を負わざるを得ない状況があります。
今では「ヤングケアラー」という言葉ができ、彼ら・彼女らの辛さにスポットが当たりやすくなりました。名古屋市では今年度から、「なごやヤングケアラー コネクトPoket」というLINE相談窓口も開始。「大切にしたいことを、しっかり守ったり。少し忘れたいことを、そっとしまったり」。そんなポケットのような存在でいたい、と名付けたのだそうです。
「頑張りすぎないで」「少し力を抜いても大丈夫だよ」と声をかけても響かないくらい、頑張ってきた若者たちに何ができるのか。コネクトPoketと一緒に考えていきたいと思います。まずは、スイーツの話を聞きながら。