午後5時半。わたしたちが運営するLINE相談がはじまると、ポツリポツリと言葉が届いてきます。「リスカする気持ちを親がわかってくれない」。
もちろん、働くことや人間関係の相談もありますが、こういった生死に関わる言葉も多く送られてきます。夕方から夜9時半という受付時間も関係しているかもしれません。
腕や足にカッターなどの刃を当て、血をにじませるリストカット。傷の深さに関わらず命の危険につながるものであり、打ち明けられた親の立場になれば「やめなさい」「どうしてそんなことするの」とすぐさま言ってしまいそうです。
一方で若者は、この10代女性の言葉を借りれば「周りに迷惑をかけている自分を罰したい」「死にたくてやっているんじゃない」「感情を抑えたいだけ」―――そんな自分を否定せずにわかってほしい、と訴えます。医学的にも、肌を切る際に鎮痛薬に似た物質が脳内に分泌されるそうで、本人たちにしてみれば辛さを避ける合理的な方法でもあるのです。
* * *
リストカットを打ち明けられた時、大人には何ができるのか。心理学や精神医学の中で、“不正解”ははっきりしています。頭ごなしに否定する、見て見ぬふりをする、誰かのマネでやっているのではないかと疑う、大人側の人生哲学を語る。これらはNG。
わたしたちがLINE相談で意識しているのは、「話してくれてありがとう」と伝え、リストカットを安心して打ち明けられる場所であり続けること。そして、傷の手当てをするよう促し、リストカットの背景にある気持ちや困りごとを聞き、少しでもその辛さから距離をとれるように一緒に考えます。
魔法のフレーズはなく、今日もまた悩みながら返事をするのだと思います―――「ただちには死ねない理由」が彼ら彼女らに増えていくことを願いながら。
* * *
名古屋市子ども・若者総合相談センターのLINE相談は、名古屋市在住の15~39歳の若者と、その保護者さん、そして市内の高校に在学中の方からの相談を受け付けています。祝日を除く月~土の午後5時半から夜9時半まで。ゴールデンウィーク前後(5月1~2日、7日~10日)はキャンペーン期間のため、午後5時~夜10時で受け付けています。
https://cowaka.net/line