「中学受験なんてしたくなかった。何もかもうまくいかないのはお前たちのせいだ」―――20代、30代になってから、投げつけるように保護者に告白する若者がいます。「本当は限界だった。ずっと言えなかった」。怒りではなく、頑張り切れなかった自分を責め続け、この年齢になってから言葉にする若者も。
「確かに誘導した部分はあったんです」「本人も頑張っていたし、そんな風に考えていたなんて」「だからといってすべての原因が中学受験ではないと思うし…」。現在のうまくいかなさもあって言葉を吐き出した本人を前に、保護者の方がいろんな感情を持たれるのは当然です。(もちろん、中学受験が本人の飛躍を後押しすることも多く、受験の是非について触れたいわけではありません)
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本人が鬱屈の真っただ中にいて、ようやく家族に気持ちを伝えられたというタイミングでは、センターの相談員が若者本人に直接会えることは少ないです。だから保護者さんと一緒に考えます。
勝ち負けにこだわりが強く“負け”は認められない/過去の記憶が鮮明に残ってしまう/何かを選ぶこと(関連していないことを除いて検討すること)が苦手で失敗経験が多い―――など、本人の特性が影響しているのかもしれません。
一方で、家族関係も関係することが多くあります。例えば、家族がほかの家族を一方的に責めている場面をよく見ていたり、親が本人を兄弟と比べて評価していたり。「お前のせいだ」と一方的に保護者を責め、他人と比べて「うまくいかない」と嘆く本人は、ただ単に、家族の姿を見て真似しているだけかもしれません。
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そのほかにも、学校での出来事や文化との相性、勉強面でのつまずきなどいろんなことが考えられます。まずは、感情が言葉になって出てきたことをよい変化だと捉えること。うまくいかない現実と、何かしら折り合いをつけられている“例外”を見つけること。
そして大事なのが、保護者自身がうまくいかない現実の中に楽しみを見つけること。わたしたちのセンターでもそれ以外でもいいので、他人や社会資源に頼る姿をぜひ見せてほしいと思います。
よい変化を見つけたり、起こしたり。本人から少し遠い場所からではあっても、お手伝いできることがあると信じています。