統合失調症という不思議な病気になったその後―――若者たちの言葉から考えること

「その時の私は考え事ばかりしていた。
 頭の中は考え事で溢れていた。
 悩んでいるのとも違う。
 ただ、いろいろな事を考えていた。

 考えが次から次へと浮かんでくる。
 自分って何なんだろう。
 何で生きてるんだろう。
 死んだらどうなるんだろう。
 何で戦争があるんだろう。

   (中略)

 私は毎日そのことばかり考えていた。
 何日経っていたのかわからない。

 そして考えに考えて、一瞬だったけど、私は悟りを開いたかの様に、頭の中がスーっとして、超難題を解いた後みたいな感覚になっていた。

 脳を100%使った様な感覚になっていた。
 その時、世の中の全てがわかってしまったと思った。」

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 10代のとき、「不思議な病気」が始まった時のことを彼女はこう書き記しています。世界平和へのシナリオを書き溜め、世の中の電子機器や人々から監視されていると感じ、病院に入院して、それからそれから・・・。統合失調症という病気との付き合いので、わたしたちも彼女と出会うことができました。

 統合失調症という不思議な病気。10代後半から20代前半で発症することも多く、わたしたち名古屋市子ども・若者総合相談センターにも来所されることがあります。

 自分の状態をどうにも説明することができない一時期を抱えるのは、とても心もとないことでしょう。この病名に衝撃を受ける家族も多く、前を向くまでに時間がかかることも度々です。そんな彼ら、彼女らが踏み出す一歩は、ほかの若者たちが走り抜けていく歩幅とは違います。それでも確かに、踏みしめている。近くで見ている私たちにはそう思えます。

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 上記の文章を書いた彼女も、高校を通信制高校に転校して卒業し、放送大学を自分のペースで受講して卒業。対人支援職やイラスト制作の仕事をして。ままならないことも多い中で、焦らず歩んでいく姿に、なぜそれができるのかなとずっと不思議に思っていました。

 彼女の文章の中に、その理由が書いてありました。

「私は大きい決意をした。
 それは生きるか死ぬか。
 たくさん悩んで生きることを自分で選んだ。

 今でも本当はボロボロで、誰かと笑っていないと潰されそうで、もう長い間体に染み付いた悲しみと苦しみは取れなくて、これはどれくらいの時間をかければ治っていくのかもわからない。

 それでも生きると決めたからには、全力で生きていきたい。」

 一人一人の若者たちが、それぞれの境遇の中で「なんとかなる」と思えるように。彼女の姿も思い出しながら、若者たちの力を信じて応援していきたいと思います。