思春期と思秋期―――若者たちの言葉から思うこと

 3月になり、日本のあちこちで進級、新年度、新しい期が始まる前の準備に追われています。心の準備も然り。家庭の中で、この一年を振り返ったり、4月以降に備えたりする会話や外出も増える頃だと思います。

 中学卒業を控え、これまでは学校が相談先になってなんとか過ごしてきた子どもや親さんたちが、子ども・若者総合相談センターを知ってくださるのも今の時期。中学校に一日も行っていないある女の子は、「高校に行ったら友達を作りたい」。通信制高校の進学を前に家で話しているそう。母は「うまくいかないこともあるでしょうけど、もう何が起こっても驚きません」と笑います。

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 たくさんの中3生の状況を聞いていると、「思春期と思秋期」という言葉が思い浮かびます。中3生がもがく姿とともに、親自身も人生の中で忙しく、ややこしく、これまでの無理が祟ったり先の人生を思って戸惑ったりする様子を聞くことが多いのです。心身の衰えや病気、自身の親の介護が始まることも。身近な人の死や転職が重なることもあります。そんなときに、子どもが今までとは違う言動、態度で理解できない状況になり、親のストレスは(そうでなくても高まっているのに)クライマックスになってしまう。

 「思秋期」の定義ははっきりとは知らないのですが、文化庁長官も務めた心理学者・河合隼雄さんが、1980年代に親子関係について書いた本にあった表現です。子どもの置かれた状況は、子どもだけが作ったものではなく、家庭や学校での相互作用が作ったもの―――「思秋期」の言葉は、そんな当たり前のことを思い出させてくれます。